総論
●「そけい」の漢字は「鼡径」ではなく「鼠径」を用いる。
各論
17. LPECの日本語表記について
ヘルニア学会ホームページ上にあります用語の欄 6(下記)(日本ヘルニア学会 (jhs.gr.jp))の「LPEC」の日本語の解説につきまして 腹腔鏡を用いた経皮的腹膜外到達法による修復法は「LPEC」を指す。を追記した。
2024年4月16日 学術用語委員会作成
2024年4月19日 理事会承認
16. ワールドガイドライン改変に伴う嵌頓ヘルニアの取り扱いについて
ワールドガイドラインの改変に伴い、委員会及び理事会で討議し、以下のように決定した。
”非還納性ヘルニア”、 “嵌頓ヘルニア”、 “絞扼性ヘルニア”に係る用語の変更について
従来、日本ヘルニア学会では”非還納性ヘルニア”、 “嵌頓ヘルニア”、 “絞扼性ヘルニア”に関して以下のように定義していた1)。
・非還納性ヘルニア:還納できないが,膨隆以外の症状がない,またはほとんどなく,治療の緊急性がないもの。
・嵌頓ヘルニア:膨隆以外の症状を有し,急に発症した自己還納できないもの。または用手還納後も症状の消失しないもの。
・絞扼性ヘルニア:嵌頓ヘルニアのうち血流障害(可逆性,非可逆性を問わない)を伴ったもの。
しかしながら、2023年のthe international HerniaSurge guidelines for groin hernia management のupdate2) に伴い、世界標準に従って以下のように用語を変更することとした。
・「嵌頓ヘルニア(incarcerated hernia)」という用語の使用を強く推奨しない。
英語表記としてのincarcerated herniaは今後使用はされなくなる。これは、英語圏においてirreducible(非還納性)、incarcerated(嵌頓)、strangulated(絞扼)の意味が曖昧であったためであり、acute groin hernia(急性鼠径部ヘルニア)として新たに以下の3つの用語が定義された。これに伴い、日本ヘルニア学会では嵌頓ヘルニア(incarcerated hernia)という用語の使用を強く推奨せず、以下の3つの新たな用語の使用を推奨することとした。ただし、日本で使用されていた嵌頓という用語の使用は従来通りであり、嵌頓ヘルニア(incarcerated hernia)という用語の使用を推奨しないということである。
・Acutely irreducible hernia(急性非還納性ヘルニア)
急に発症する前は還納可能であったが、発症後は還納できなくなったヘルニア(血流障害の有無を問わない)
従来の嵌頓ヘルニアから置き換える
・Chronically irreducible hernia(慢性非還納性ヘルニア)
慢性的に脱出し還納できないヘルニアで突然の発症と関係しないもの
従来の非還納性ヘルニアから置き換える
・Strangulated hernia (絞扼性ヘルニア)
内容物が絞扼したヘルニア
画像診断や手術診断でヘルニア内容に血流障害があるもの
従来の絞扼性ヘルニアと解釈に変更はない
【文献】
1)日本ヘルニア学会. (2023, December 25).学術・用語. https://www.jhs.gr.jp/technical_term.html
2)Stabilini C, van Veenendaal N, Aasvang E, et al: Update of the international HerniaSurge guidelines for groin hernia management. BJS Open, 2023, https://doi.org/10.1093/bjsopen/zrad080
2024年1月18日 学術用語委員会作成
2024年1月19日 理事会承認
15. 日本外科学会用語集への記載依頼について
日本外科学会用語集の改訂が行われることになり、以下の用語の変更と新規申請を依頼しました。
変更希望
1)嵌頓性 = strangulatedとなっているが、
嵌頓性 = incarcerated
絞扼性 = strangulated と変更してほしい。
新規申請
1) 還納性 = reducible
2) 非還納性 = irreducible、non-reducible
3) 鼠径部ヘルニア = groin hernia
4) 腹壁瘢痕ヘルニア修復 = repair of incisional hernia
5) 腹壁切開腹壁瘢痕ヘルニア修復 = open repair of incisional hernia
2023年10月31日
14. JSES 腹壁瘢痕ヘルニアガイドラインの解説文について
1)腹腔鏡手術と腹腔鏡下手術の呼び方
JSES の用語集でどちらでもよいことになっているので「どちらでも良い」とする。
2)腹壁瘢痕ヘルニア修復術において open repair と呼ばれる手術を何と表記するか
腹壁切開法 で統一する。
使用例として、
・腹壁切開(腹壁)瘢痕ヘルニア修復術
・腹壁切開法による腹壁瘢痕ヘルニア修復術
2022年9月12日 学術用語委員会審議
2022年9月26日 理事会決定
13. ロボヘルの表記について
ロボヘルの日本語表記は日本内視鏡外科学会の用語に従い「ロボット支援鼠径部ヘルニア修復術」とする。
2022年8月2日 学術用語委員会審議
2022年8月24日 理事会決定
2023年5月25日 理事会にて改訂
12. 改変されたものの表記の基準について
新とか旧といった表現を原則使用せず、題名の末尾に(西暦年版)と記載することとする。
英文では単純に(西暦)。
例: JHS 分類(2021 年版)
ただし、前に遡って適応させず、決定以降から適応させていくこととする。
2022年8月2日 学術用語委員会審議
2022年8月24日 理事会決定
11. 腹壁瘢痕ヘルニアに対する「transversus abdominis muscle release」の日本語表記について
腹壁ヘルニアに関して 昨今、transversus abdominis muscle releaseという言葉が汎用されており、その日本語表記について会員からお問い合わせをいただきました。これを受けて日本ヘルニア学会用語委員会、同理事会で審議した結果、英語表記を無理に日本語に変換するとかえって異なった手術や手技が単一表現化されて、内容が異なってしまう恐れがあるとの理由から、transversus abdominis muscle releaseに限らずcomponent separationなどについても、できるだけ現在の英語表記を継続し、特定の日本語表記をしないことを推奨する、という結論に至りました。ただし、transversus abdominis muscle releaseに関しては、どうしても日本語訳が必要な場合には『腹横筋リリース』が最適であるとの考えです。
日本ヘルニア学会用語委員会(2022年2月1日)
10. 非還納性・嵌頓・絞扼性ヘルニアの定義について
旧定義のため削除
9.「慢性疼痛」とは、術後6ヶ月以降に存在する痛みとする。
8.鼠径部ヘルニア術後の再発鼠径部ヘルニアは「合併症」の一つと位置づける。
7.鼠径部ヘルニア手術を行った後の鼠径部ヘルニアは、再発鼠径部ヘルニアとする。
小児期のヘルニア治療後の再発も含む。
6.腹腔鏡を用いた腹膜前到達法による腹膜前修復法は「TEP」を指す。
腹腔鏡を用いた腹腔内到達法による腹膜前修復法は「TAPP」を指す。
腹腔鏡を用いた腹腔内到達法による腹腔内修復法は「IPOM」を指す。
腹腔鏡を用いた経皮的腹膜外到達法による修復法は「LPEC」を指す。
TEP: totally extraperitoneal repair
TAPP: transabdominal preperitoneal repair
IPOM: intraperitoneal onlay mesh repair
LPEC: Laparoscopic percutaneous extraperitoneal closure
5.腹腔鏡、鼠径部切開法にかかわらず、メッシュを用いた術式を「メッシュ法」、メッシュを用いない術式を「組織縫合法」とする。
4.横筋筋膜のヘルニア門に対しどのように到達するかによって到達法を区別する。
鼠径管を開きヘルニア門に到達する方法を「前方到達法」とする。
鼠径管を開かずに腹膜切開せずにヘルニア門に到達する方法を「腹膜前到達法」とする。
鼠径管を開かずに腹膜切開しヘルニア門に到達する方法を「腹腔内到達法」とする。
鼠径管を開かずに大腿ヘルニア門に到達する方法を「大腿法」とする。
3.腹腔鏡を用いない手術に対する切開法を「鼠径部切開法」とする。
2.「鼠径部ヘルニア」は外鼠径(間接型鼠径)ヘルニアと内鼠径(直接型鼠径)ヘルニア、大腿ヘルニアとする。
1.「鼠径ヘルニア」は外鼠径(間接型鼠径)ヘルニアと内鼠径(直接型鼠径)ヘルニアとする。