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鼠径部ヘルニアの新NCD(National Clinical Database)登録のお願い

2022年7月

 

鼠径部ヘルニアの新NCD(National Clinical Database)登録のお願い

 

 日本ヘルニア学会は、ヘルニア疾患の症例登録を行い、ヘルニア疾患の診療の質を改善させることを目的に、2016 年に症例登録委員会を発足させました。 そして、日本で症例登録を行うにはNCDデータを活用することが得策と考え、 2017年に消化器外科データベース関連学会協議会に参加し、2018 年からNCDにおける鼠径部ヘルニア手術のデータ抽出が可能となりました。その結果は、日本ヘルニア学会誌に報告しており( 資料1 )、2017年の鼠径部ヘルニア手術症例数は110,252例でした。しかし、通常のNCDにおける鼠径部ヘルニア手術のデータは、外科専門医の共通項目のみで、左右の区別、初発・再発の区別、詳細な手術術式(Lichtenstein 法、Mesh-plug 法、TAPP、TEPなど)、鼠径部ヘルニア分類など、日本ヘルニア学会として把握したいデータが全くない状況でした。

 そこで、日本ヘルニア学会は消化器外科データベース関連学会協議会と協議を重ね、鼠径部ヘルニア手術について、新たに4つの入力項目を追加することになりました。追加4項目の詳細を 資料2 に示します。この新たな症例登録(以下、鼠径部ヘルニアの新NCD登録)は、登録をしていただける施設・診療科を日本ヘルニア学会からNCD側に提出し、NCD登録施設と紐付けすることによって開始されます。すでに、鼠径部ヘルニアの新NCD登録は、2021年5月27日に開始されております。

 また、ご存じの通り、日本ヘルニア学会は、2006年版鼠径部ヘルニア分類(JHS分類)を考案し、国内において多くの学会員の皆さまに周知され、用いられてきました。しかし、世界に目を向けますと、鼠径部ヘルニアの国際ガイドラインで、European Hernia Society 分類(EHS分類)が鼠径部ヘルニアの分類として推奨されており、今やEHS分類が世界標準の鼠径部ヘルニア分類となっております。日本ヘルニア学会としては、EHS 分類に準じて国際化に歩み寄ることが、今後の日本ヘルニア学会の発展に繋がっていくであろうと判断し、2021年版鼠径部ヘルニア分類(新JHS分類)を公表しました。鼠径部ヘルニアの新NCD登録では、 2021年版鼠径部ヘルニア分類(新JHS分類) を採用しております。

 つきましては、現在、日本ヘルニア学会会員を有する施設においては、積極的に鼠径部ヘルニアの新NCD登録の登録施設になって頂きたいと考えております。また、できる限り多くの施設・診療科が、この新NCD登録に参加して頂きたいと考えておりますので、日本ヘルニア学会会員が不在の施設であっても、鼠径部ヘルニアの新NCD登録にご賛同頂ける施設では、登録施設になることが可能です。数年後には、鼠径部ヘルニア手術におけるより詳細なデータを蓄積し、鼠径部ヘルニア手術の質の改善に貢献していきたいと考えております。

 また、将来的にロボット支援下鼠径部ヘルニア修復術を開始する施設が増加すると推察されます。日本ヘルニア学会は、ロボット支援下鼠径部ヘルニア修復術を現在すでに行っている施設と今後行うことを検討している施設に対し、鼠径部ヘルニアの新NCD登録への参加を強く要望しております。本学会ホームページ上に、「ロボット支援下鼠径部ヘルニア修復術に対して、日本ヘルニア学会(JHS)からの提言(改定)」を掲載しておりますので、ご参照ください。

何卒、できる限り多数の施設からの登録参加を、宜しくお願い申し上げます。

症例登録委員会 委員長  宮崎恭介
理事長          蜂須賀丈博