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その他報告

ACKSS   IJAWHS  

The Annual Meeting of International Journal of Abdominal Wall and hernia Surgery, the Annual Meeting of International Endohernia Society, China Chapter (16-18 December, 2022 , Web)

成田匡大(国立病院機構京都医療センター外科)

「Study in progress: The frequency and risk factors of chronic postoperative inguinal pain (CPIP) -Japanese prospective multicentre observational study」

 

 このたび、栄誉ある学会「The Annual Meeting of International Journal of Abdominal Wall and hernia Surgery, the Annual Meeting of International Endohernia Society, China Chapter」に、「Study in progress: The frequency and risk factors of chronic postoperative inguinal pain (CPIP) -Japanese prospective multicentre observational study」というタイトルでビデオによる発表をさせていただきました。発表内容は、全国22施設にて行っている現在進行形の前向き観察研究に関する報告です。主要評価項目は術後三ヶ月目の慢性疼痛発症頻度であり、2800例の登録がなされています。まだデータが固定されていないため、その結果を発表するに至りませんでしたが、現時点でのアンケート回収率や多機関共同研究の重要性について発表させていただきました。本学会での発表は一昨年に続き2回目となりましたが、今回はスケジュールの都合上、残念ながら参加して直接Discussionすることはできませんでした。今後も海外の学会に積極的に参加し、日本固有のEvidenceを世界に発表していきたいと思います。
 最後になりますが、今回、このような素晴らしい機会を与えていただきましたヘルニア学会理事長の蜂須賀先生に心より御礼申し上げます。

 

パウデル サシーム(国立がんセンター東病院大腸外科)

「Demonstrating evidence in the field of surgical education of laparoscopic inguinal hernia repair」

 

 この度、日本ヘルニア学会 理事長 蜂須賀 丈博 先生からご推薦により、"The Annual Meeting of International Journal of Abdominal Wall and hernia Surgery, the Annual Meeting of International Endohernia Society, China Chapter"での発表の機会を頂きました。International Journal of Abdominal Wall and Hernia Surgeryは、International Endohernia Society (IEHS)という腹腔鏡下ヘルニア手術に強い興味を持つ外科医向けの学会誌です。アジアの編集委員長として中国のChen Jie先生が担当しており、昨年度から中国支部を中心に世界各国のヘルニアのエキスパートを集めたオンライン学会が開催されていました。
 今回参加した会は、2022年12月16日に開会式が行われ、その日は主に会全体についての話と学会誌についての報告がありました。翌17日からは学術的な発表が始まり、鼠経ヘルニア・腹壁瘢痕ヘルニア・食道裂孔ヘルニアの手技、最新のトピックやデータ、慢性疼痛に対する教育・管理に関して、世界各国のエキスパートの先生から発表がありました。それぞれの発表の最後には30分程度の総合討論の時間が設けられ、座長と演者の間で熱い討論が繰り広げられていました。
 最終日である3日目の12月18日も同様に学術的な発表が続き、この日は複雑ヘルニア・鼠経ヘルニア・瘢痕ヘルニアおよび傍ストーマヘルニアのセッションがありました。日本からは京都医療センターの成田先生と私が鼠経ヘルニアのセッションで発表をしました。私は”Demonstrating evidence in the field of surgical education of laparoscopic inguinal hernia repair”という演題で、これまでに私が取り組んできた腹腔鏡下鼠経ヘルニア修復術の教育研究に関するデータを中心に報告しました。発表はビデオ形式の事前提出制で、発表の際には座長からの紹介後にプレゼンテーションが始まるといった流れで、発表の際に流れたビデオには英語と中国語の字幕が付けられていました。ZoomのパネルにJan Kukletaをはじめとした複数のエキスパートの先生がおられ、発表後の総合討論では前日同様に熱い議論がありました。特に、eTEPなどの新しい手技が本当に鼠経ヘルニアの手術において必要なのかという点において議論が盛り上がっていました。最終的には、新しい手技だから良いということではなく、それぞれの術式に対する必要性と利点を理解した上で選択することが重要であるという結論に至りました。その他には、慢性疼痛の発生頻度に関しても議論となっており、エキスパートの先生方の経験と論文での報告が異なっているという点に焦点が当てられました。慢性疼痛に関しては、その発生においてタッカー使用が原因の一つということでエキスパートの先生方の意見は一致し、今回発表された成田先生のような研究で明確にしていくことが重要であるという結論に至りました。
 今回の会の参加を通して、このような国際的な舞台でヘルニアにおける日本のデータ・手技や日本からのエビデンスの発疹などを継続してくことが非常に重要であると再認識いたしました。最後になりましたが、このように日本にいながらにして自分の研究成果を発表し、世界各国のエキスパートの先生方と意見交換をする機会を与えていただいた、日本ヘルニア学会 理事長 蜂須賀先生そして日本ヘルニア学会に感謝を申し上げます。

 

Annual Congress of Korean Surgical Society (3-5 November, 2022 , Seoul)

篠原 健太郎(愛知医科大学外科学講座)

「Safety management in the introduction of robotic inguinal hernia repair」

 

 この度、韓国外科学会への発表の機会を与えていただいた日本ヘルニア学会の皆様、帝京大学の三澤健之先生、湘南慶育病院の和田則仁先生に心より感謝申し上げます。私の発表は”Safety management in the introduction of robotic inguinal hernia repair. “と愛知医科大学でのロボット支援下鼡径ヘルニア手術導入時の安全面への配慮についてのものでした。会場の観衆は多くはなかったものの、英語での口演は慣れておらず緊張しました。一方で、韓国の特に若い先生方は小さい時から英語教育をしっかり受けているようで皆かなり流ちょうに話しており驚きました。学会の他の発表を拝見すると、発表はほとんどが大学病院からのもので、医療の集約化が進んでいるものと推察されました。発表後はランチョンセミナーに出てランチを頂きましたが、必ずキムチがついているのは流石でした。学会後には三澤先生、和田先生、他のトラベルグラントでの参加の先生方と食事する機会を頂き、先生方がヘルニア診療に尽力されるようになったきっかけや、その後のモチベーションについてのお話を伺うことができて大変勉強になりました。今回の貴重な経験を糧に今後もヘルニア診療に邁進していく所存です。

篠原 健太郎先生

 

坂下勝哉(大垣市民病院外科)

「Feasibility and Safety of Open Tissue Repair for Incarcerated Groin Hernia with Bowel Resection」

 

 2022年11月3日~5日に韓国ソウルで開催されたAnnual Congress of Korean Surgical Societyに参加しました。トラベルグラント募集があるということを高山先生から聞き、機会があれば海外学会に参加したいという思いが以前からあったため、短い募集期間ではありましたが急いで準備・応募し、幸運なことに採択していただきました。
 学会はソウル市街から少し離れたホテル併設のコンベンションセンターで行われ、規模は日本の学会よりも小さかったですが、発表・質疑応答は英語で行われ、非常に流暢で質疑応答も盛んで、活気に満ちた印象でした。
 私の発表は腸管切除を要した鼠径部嵌頓ヘルニアに対する組織縫合法の有用性についてでした。当院では腸管切除した場合、一期的に組織縫合法で修復します。結果として腸管切除すると創感染が19%、組織縫合法で懸念されるヘルニア再発率は1.3%でした。これまで日本ヘルニア学会で英語の発表はありましたが海外での発表は初めてで、英語のプレゼンテーションに自信がつきました。また発表以外にも、帝京大教授三澤健之先生や湘南慶育病院の和田則仁先生、韓国ヘルニア学会会長のDr. Kangとの会食もあり、非常に多くのことを経験できました。今後もこの経験を活かして海外に目を向け、研鑽を積んでいきたいです。
 今回このような機会を与えていただいた日本ヘルニア学会理事長の蜂須賀丈博先生をはじめ国際委員会委員長の三澤先生、招待講演を行いトラベルグラントの機会をいただいた和田先生、関係各位に深く感謝いたします。

坂下勝哉先生

 

神人 悠(帝京大学医学部外科)

「Initial clinical outcomes after introduction of robot-assisted inguinal hernia repair (rTAPP)」

 

 日本ヘルニア学会和田則仁先生からお話を頂き、韓国外科学会トラベルグラントに応募し参加することが決定した。私は研修医であるが本学の肝胆膵外科教授であり、ヘルニア学会国際委員会委員長である三澤健之先生、上級医の肥沼先生から推薦を頂きロボットヘルニアの初期臨床経過報告に関して発表する事となった。海外での学会報告は初めてであり、発表形式はポスター発表ではあったが着々と準備を進め期待と不安を胸に飛行機に乗った。開催場所であるSeoulには日本の新宿を連想させるような大都会の明洞があるが、会場のSwiss Grand Hotelは賑やかな繁華街を抜けた、銀杏並木の綺麗な通り沿いにあり、見た目の華やかさの中に昔ながらの趣がある素晴らしい環境であった。和田先生のご講演、同じく日本人でトラベルグラント受賞者である坂下先生、篠原先生のご発表はいずれも素晴らしく同じ日本人として誇らしかった。私もいつかポスター発表ではなくoral presentationで再びこの場で発表してみせると強く心に誓った。
 三澤先生と共にSeoulを巡り参鶏湯、マッコリでお腹を満たしながら、先生の築いてきた生き様を身近で感じる機会もあり、私はまだまだ未熟であるが先生のように技術と志を高く持って精進していきたいと強く思った。初めての海外学会は今後の原動力となり、強く心に刻まれる経験となった。
 本誌面をお借りしてヘルニア学会理事長の蜂須賀丈博先生、和田則仁先生、三澤健之先生はじめ学会関係者の方々に深く感謝申し上げます。本当にありがとうございました。
 2022年10月30日梨泰院群衆事故の被害者の一日も早い快復を心よりお祈りいたします。

神人悠先生
左から神人先生、篠原先生、和田先生、Gil Ho Kang先生、三澤先生、坂下先生

 

和田則仁(湘南慶育病院外科・消化器外科)

「Fundamentals of Inguinal Hernia Repair」

 

 第74回韓国外科学会定期学術集会(会長Moon-Soo Lee教授、2022年11月3~5日、ソウルSwiss Grand Hotel)において招待講演の機会をいただき、無事務めを果たすことができました。8月に学会本部より私宛てに3名の若手医師に対するトラベルグラント募集の話をいただきました。今回ヘルニアに関する招待講演でしたので、蜂須賀理事長にご相談させていただき、ヘルニア学会国際委員会から公募し優れた3演題を推薦することができました。短期間の募集期間でしたが、篠原健太郎先生(愛知医科大学外科学講座)、坂下勝哉先生(大垣市民病院外科)、神人悠(帝京大学医学部外科)の3名の立派な演題を韓国外科学会で発表していただくことができました。コロナ禍になり若手外科医にとって海外での発表の機会が失われてしまった中で、ようやく渡航制限も緩和され、事故もなく無事に発表し帰国できたことで安堵しているところです。国際学会の醍醐味は人的交流にあると思います。11月4日の夜は韓国ヘルニア学会前会長のGil Ho Kang教授に夕食会を企画していただき、時節柄少人数の会でしたが、3名の若手の先生、国際委員会委員長の三澤健之先生と一緒に韓国料理を頬張りながら有意義なひと時を過ごすことができました。学術的な面だけではなくsocialな面でも良い機会となりました。
 Gil Ho Kang教授とはヘルニアに関して定期的な日韓合同シンポジウムを開催すべく2019年から準備を開始したところでしたが、COVID-19の感染拡大により中断を余儀なくされました。最近になり国際交流も再開する機運が高まってきているように感じております。今回のトラベルグラントが日韓ヘルニア学会の交流再開の契機になれば幸甚であります。

先生
会長Moon-Soo Lee教授(左)と